8.312026

「歌ってみたを録ってみたいけれど、機材がスマホしかない」
「スマホで録ると、自分の歌がやけに下手に聞こえる」
「良いマイクを買わないと、まともに録れないのでしょうか」
——そんなご相談をいただくことがあります。
結論からお伝えすると、スマホ1本でも歌は録れます。
そして、録ったものが物足りなく聞こえる原因は、必ずしも機材だけにあるわけではありません。スマホとの距離、録る部屋、そして録音された自分の声の聞こえ方など、いくつかの要素が関係しています。
この記事では、スマホで歌を録るときに気をつけたい「距離・部屋・声」の3つについてお伝えします。
機材を買い足す前に確かめられることばかりです。
スマホのマイクは、思っているより性能が高い
最近のスマートフォンの内蔵マイクは、思っている以上にきれいに声を録ることができます。
もちろん、専用のレコーディング機材とまったく同じというわけではありません。また、機種や録音アプリによって、音の処理や録音レベルの扱いも異なります。
それでも、ちょっとした「歌ってみた」や、自分の歌をチェックするための録音であれば、まずはスマホから始めてみてよいと僕は思っています。
大切なのは、
「スマホだから良い音で録れない」
と最初から決めつけないことです。
一方で、
「スマホなら、どんな録り方をしても同じ」
というわけでもありません。
大きな声を近距離から入れると、歪んだり、不自然な音になったりすることがあります。録る場所によっても、声の聞こえ方はかなり変わります。
では、何に気をつければよいのでしょうか。
1.スマホに近づきすぎない
まず確認していただきたいのが、スマホと口の距離です。
スマホに近づくほど声は大きく入りますが、同時に息が直接マイクに当たったり、破裂音などが目立ったりすることがあります。
また、大きな声を近距離から入力すると、録音システムのどこかで歪みが生じる場合があります。
特にデジタル録音では、入力レベルが上限を超えることで「クリッピング」と呼ばれる現象が起きることがあります。波形のピーク部分が記録可能な範囲を超えてしまい、ざらついたり潰れたりした音になります。
一度クリッピングして録音された音を、あとから完全に元の状態へ戻すことは困難です。
最初は、こぶし1つから2つ分ほど離した位置をひとつの目安として試してみてください。
ただし、これは絶対的な正解ではありません。
声量、スマホの機種、アプリ、部屋の環境などによって適切な距離は変わります。
おすすめは、曲の中でいちばん大きな声を出す部分を先に録って確認することです。
サビで音が不自然に潰れるのであれば、少し距離を取る。反対に、離れすぎると声だけでなく部屋の反射音も入りやすくなることがあります。
つまり、
「近すぎず、離れすぎず、自分の声に合う位置を探す」
ことが大切です。
10cm、20cm、30cmと距離を変えて同じフレーズを録ってみるだけでも、自分に合う位置がかなり分かってきます。
2.部屋の響きを確認する
次に気をつけたいのが、録る部屋です。
硬い壁や床、家具の少ない部屋で歌うと、声が壁や床などに反射し、その音がスマホのマイクにも入ります。
すると、直接マイクに届いた声に反射した声が加わり、声の輪郭や音色が変わって聞こえることがあります。
対策として試しやすいのが、
- カーテンを閉める
- 布団やクッションなどがある場所で録る
- 衣類がたくさん掛かっているクローゼットの近くで録る
といった方法です。
カーテンや衣類などがすべての音を均等に吸収してくれるわけではありませんが、硬い面だけに囲まれた環境と比べて、反射を減らせる場合があります。
確かめ方は簡単です。
同じフレーズを、場所を変えて何回か録ってみてください。
たとえば、普段歌っている場所とカーテンや衣類の近くで録り、イヤホンで聴き比べてみます。
声の響き方に違いがあれば、その部屋の反射音が録音に影響している可能性があります。
高価な機材を買う前に、「どこで録るか」を変えてみる。
これだけでも録音の印象が変わることがあります。
3.録音された自分の声が違って聞こえるのは自然なこと
そして、ここはぜひ知っておいていただきたいところです。
録音した自分の声を初めて聴いて、
「えっ、自分の声ってこんな声なの?」
と思った経験はありませんか。
これは珍しいことではありません。
歌っている最中、僕たちは空気を伝わって耳に届く音だけを聞いているわけではありません。頭部などを伝わる振動も含めて、自分自身の声を聞いています。
ところが、スマホで録音した声を再生するときには、そのとき自分が感じていた骨伝導による振動は含まれません。
そのため、
「思っていたより声が薄い」
「なんだか自分の声じゃないみたい」
「歌っているときは良かったのに、録音すると下手に聞こえる」
と感じることがあります。
ですから、録音された自分の声に違和感がある=歌が下手、ということではありません。
まずは「自分が歌っているときに聞いている声と、録音された声は同じようには聞こえない」ということを知っておいてください。
そのうえで、録音を自分の歌を客観的に確認するための材料として使っていきます。
録音では「必要なところだけ」を調整する
録音した歌を聴くとき、とくに確認したいのが言葉の子音と語尾です。
たとえば、
「この言葉だけ何を歌っているのか分かりにくい」
というところがあれば、そこだけ子音を少し明確にしてみる。
「いつもフレーズの最後が曖昧になる」
のであれば、語尾の終わり方を意識してみる。
このように、録音を聴きながら必要な部分だけを調整していくことが大切です。
「録音するときは子音を強くすればいい」という話ではありません。
むしろ、スマホとの距離が近い状態で「さ行」などを必要以上に強調すると、かえって耳につく音になることもあります。
だからこそ、自分の録音を聴いて、
「どこを変えれば、もっと伝わる歌になるのか」
を一つずつ見つけていきます。
この「録音を前提とした声の作り方」については、録ると下手に聞こえる理由を解説した記事でも詳しく紹介しています。
自分の声が録音でどう聞こえているのか、どこを直せば変わるのかを確かめてみたい方は、60分の無料体験レッスンで実際に声を聴かせていただくところから始めてみませんか。
ご自身では気づきにくい癖も、第三者が聴くことで見つけやすくなることがあります。
録ったものを聴き返すときの考え方
録音した音を聴き返すとき、多くの方が最初から、
「上手いか、下手か」
で判断してしまいます。
ですが、それでは次に何を直せばよいのかが分かりません。
僕がおすすめしているのは、次の順番で確認することです。
- 音が割れたり、不自然に歪んだりしていないか
- 歌詞が聞き取れるか
- フレーズの終わり方が曖昧になっていないか
- 最後に、表現したい気持ちが伝わっているか
まず録音状態や歌の基本的な部分から確認して、最後に表現を聴きます。
この順番で聴くと、
「なんとなくダメ」
ではなく、
「次はここを直してみよう」
に変わっていきます。
また、歌った直後は、自分が歌っていたときの感覚がまだ強く残っています。
すぐに聴くと判断しづらいと感じる方は、一日おいてからもう一度聴いてみるのもおすすめです。
そして、うまくいかなかったテイクも、できればすぐには消さずに残しておいてください。
何本か録りためてから聴き返すと、
「いつもこの場所で息が足りなくなる」
「このフレーズだけ毎回音程が不安定になる」
「サビになると力んでいる」
など、自分の傾向が見えてくることがあります。
直すべき場所は、こうした繰り返しの中から見つけやすくなります。
機材を増やすのは、そのあとで
スマホとの距離を調整する。
録る場所を変えてみる。
そして、録音された自分の声を聴きながら歌い方を調整する。
ここまで試して、それでも「もっと良い音で録りたい」と感じたときに、初めて外付けマイクやオーディオインターフェースなどを検討しても遅くありません。
順番が逆になると、機材を替えても同じ悩みが残ることがあります。
高価なマイクを使っても、入力レベルが適切でなければ歪むことがありますし、部屋の反射が強ければ、その響きも一緒に録音されます。
機材は、声と録り方を整えた先を、さらに伸ばしてくれるもの。
僕はそう考えています。
配信や宅録に向けた発声そのものについては、「配信で歌声がこもる・枯れる原因」を解説した記事もあわせてご覧ください。
Lavocでできること
Lavocのレッスンはマンツーマンです。
録音を前提とした声づくりについても、その方の実際の声を聴いたうえで、
「どこを変えると、録音したときの聞こえ方が変わるのか」
を一緒に確認していきます。
また、レッスンのない時間には、自主練習専用の防音ブースを無料でお使いいただけます。
周りを気にせず声を出せるので、歌の練習だけでなく、録音を繰り返しながら自分の声を確認する練習にも使えます。
スマホ1本でも、工夫できることはたくさんあります。
大切なのは、
「スマホだからダメ」なのではない。でも、「スマホなら何でも同じ」でもない。
ということです。
まずは今持っているスマホで、同じフレーズを距離や場所を変えながら何本か録ってみてください。
自分の声がどう録られているのかを知ること。
そこが、「歌ってみた」をもっと良くしていく最初の一歩です。
スマホで録った自分の歌が、思ったように聞こえない方へ。
録音で何が起きているのか、どこを直せば変わるのかを、渋谷Lavocの現役プロ講師が60分の無料体験でその場で確認します。

この記事を書いた人
- 13歳のころから独学でギターを始め、オリジナル曲を制作、17歳の頃よりバンド活動を行う。 その後、音楽学校に進学、卒業後同音楽学校でサポートミュージシャンとして勤務。 それと平行して、大阪を中心にライブハウスなどでミュージシャンとして積極的にライブ活動など行う。
東京に上京後、都内のライブハウスやラウンジでボーカリストとして勤務、活動。
現在、ボーカル講師の仕事を中心にスタジオミュージシャン、サウンドクリエイター、ラジオのパーソナリティーなど幅広く活動している。
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