ミックスボイスについて、5W1H(WHAT:ミックスボイスとは何か?、WHERE:どこの音域のことか?、WHEN:いつ頃から注目されるようになったか?、WHY:なぜ必要か?、WHO:誰が上手いか?、HOW:どう発声・練習するか?)でその内容をご紹介いたします。
5W1H
WHAT: 【ミックスボイス】とは何か?
1-A 【ミックスボイス】とは何か?
裏声に切り替わる所を「換声点」(かんせいてん)と呼びます。
地声→裏声、裏声→地声の移行を、
ある音の高さで急に変えると、
声の強弱が極端に変化して、聴いてる人は違和感を覚えます。
そうならないために、
地声→裏声の移行は徐々に高く、
裏声→地声の移行は徐々に低くしていきます。
まずは「換声点」
下の図を見てください。
まず、地声と裏声があります。
そして、その「換声点」をなくす!
そのためには上の図のように高くなると、
一気に裏声にするのではなく、
徐々に裏声を混ぜていく!
そうです、
その「混ぜ声!」
つまりそれが「ミックスボイス」ということです。
1-B 海外での【ミックスボイス】の考え方
声楽の研究が進んでいる海外では、
4つの声区(せいく)に分けて考えられています。
- チェストボイスは「胸声」(きょうせい)
- ミドルボイスは「中声」(ちゅうせい)
- ヘッドボイスは「頭声」(とうせい)
- ファルセットは「仮声」(かせい)
の4つです。
1-C 真の【ミックスボイス】
さらに、
ミドルボイスでもなくヘッドボイスでもない。
ミドルボイスとヘッドボイスを混ぜた声として、
「真のミックスボイス」という5つの声区に分ける
考え方もあります。
WHERE:ミックスボイスの音域
一般的に、
男性はMID2 F〜hi A♯辺り、女性はhi B~hi D辺りです。
地声でどんどん高く発声していき、
裏声にひっくり返ってしまう場所(音程)を換声点と呼びます。
声がひっくり返ってしまう事を
『換声点ショック』と言います。
換声点ショックが起こりやすい場所が、
男性はMID2 F〜hi A♯くらい、
女性はhi B~hi Dくらいです。
WHEN:いつ頃から注目されるようになったか?
3-A 『高い声ブーム』はどこから来たのか?
2005年前後、ニコニコ動画で、
人間ではなくボーカロイド(コンピュータープログラム)が
歌を歌うという文化が登場しました。
人間のボーカリストは抜きで、
クリエイター(音楽を制作する人)のみで、
「歌もの」の音楽が完成するという、
新しい音楽ジャンルが生まれたのです。
今では、
カラオケでも検索欄に
『ボーカロイド』という項目が足されています。
おススメの『ボーカロイド』の楽曲は、次の3曲です。
livetune feat. 初音ミク 『Tell Your World』Music Video
3-B 注目のきっかけ:『歌ってみた』カルチャー
『高い声ブーム』はどこから来たのか?
『ボーカロイド』は歌の表現の幅を広げました。
人とは違い、
『ボーカロイド』は楽々と高いキーで歌を歌いこなします。
そして、
『ボーカロイド』の高いキーに挑戦する人が、
「歌ってみた」動画を投稿し始め、新しいカルチャーが生まれました。
デビューしていない一般の方の中から、
男性なのに、
普通の女性よりも高いキーで歌う方が、
現れたりもしました。
このブーム以降、
高い声の出し方について、
数えきれない程の本やDVDなどの教材が
出版されました。
他にもインターネット、テレビなどでも、
高い声の出し方について
紹介されるようになりました。
この頃から、にわかに注目を浴び始めたのが
【ミックスボイス】だったのです。
当初は、情報が錯綜していました。
誤った情報も飛び交っていました。
今では【ミックスボイス】の定義も一般化され、
トレーニング方法も科学的にかなり解明されています。
WHY:なぜ、ミックスボイスが必要か?
結論から言うと、換声点ショックを無くすためです。
高い声になると、急に裏声にひっくり返ってしまい弱くなる。
表現として、わざとそうする場合もありますが、
そういったことを無くすためです。
サビになれば音が高くなる曲がほとんどです。
その方が単純に声量を上げやすく、
感情の高ぶりなどを表現しやすいなど、
理由は様々ですが、
サビで音を高くするのはセオリーです。
但し、
サビの盛り上がりで高い音になった時に、
裏声に変わって弱々しく歌ってしまっては逆効果です。
逆に、
高い声になると地声を張り上げていってしまい、
うるさくなったり、怒鳴り声っぽくなったりすると、
歌が台無しなってしまいます。
そのために、
必要なのが『ミックスボイス』です。
WHO:上手い歌手は誰か?
5-A Meg先生 推薦
【MISIA】
- 誰もが納得の日本の歌姫。
- 地声から裏声の換声点がほとんど分からない。
- グラデーションの様にキレイに混じり合った素晴らしい発声とテクニック。
- 高音域が全く力んでいないので、豊かな発声は圧巻です。
【So Hyang】
- コリアン・マライアキャリーと呼ばれる韓国の女性歌手。
- 声区融合が本当に素晴らしい。
- どこかのポジションに偏ることがなく、バランスよく使い分けて融合させています。
- Whitney Houston の曲など声量とある程度の重さが欲しくなる曲でも、口腔内をめいっぱい使って、細い体でもパワフルに歌い上げます。
【Patrique Fortson】
- 人気番組voice出身。
- Jennifer Hudsonとmaloon5のAdamが取り合った実力者。
- Ain’t nobody のriffは、彼の恐ろしいほど自由自在な声区移動だからこそ為せる技!
- テクニックだけではなく、オーディションで歌っていたOleta Adamsの”Get Here”は彼のピュアな人柄を感じることができます。
5-B Anri先生 推薦
【SHISHAMO】
- 今人気のガールズバンド、SHISHAMO
- サビに向かって滑らかに高音に繋いでいく歌い方が特徴!
- Aメロ〜Bメロ〜サビの流れがとてもスムーズです。
- 1度聴くと耳に残るキャッチーなメロディーは、カラオケで歌えると盛り上がること間違いなし!
【miwa】
- 女性らしい柔らかい透き通った声が特徴のmiwa
- 柔らかさの中に芯がある、わかりやすいミックスボイスです。
- 彼女の楽曲は高い音がかなり出てきますが、そんなことを感じさせない余裕っぷり。
- 高い音が喉声になりやすい人は参考にするといいと思います!
- miwaの楽曲が可愛く歌いこなせたらモテること間違いなし!笑
【水曜日のカンパネラ】
- ラップやセリフが多い、面白い楽曲を歌うコムアイさん。
- 普段の喋り声もミドルボイスで、元々よく通る声の持ち主なのかなと思います。
- 楽曲の中で様々な展開が繰り広げられる中、違和感なく自然に聴けるのは声の音色がミックスボイスで統一されているのが大きな理由かと思います。
- 音程を取るのが苦手な方は、こういったラップが多い楽曲から挑戦してみるのもおすすめです♪
【BUMP OF CHICKEN】
- 長年幅広い世代人気のロックバンド、BUMP OF CHICKEN
- 透明感のある歌声が特徴。
- 楽曲によってはシャウトされる時もありますが、
- Aメロからミドルボイスで綺麗に歌い始めることが多い印象です。
- サビに向かって滑らかに音色をつなげていくのがさすがです!
- リズムのハメ方が1番、2番で毎回違うかったり、よく聴くと細かい歌いわますが入っていたりと、メロディーを覚えるが困難!
- 少し上級者向きの楽曲が多いイメージです!
【スピッツ】
- BGMでかかっているだけでスピッツだとすぐ気づくくらい有名な歌手、草野さん!
- 男性はスピッツを歌い切れたら「すごい!」って風潮がいまだに根強くあります笑。
- 柔らかく優しい歌声に聞こえますが、この声をバンドでちゃんと通るように歌うにはかなりの体力&肺活量が必要です。
- ミックスボイスは聴いてる人には柔らかく滑らかに聴こえるのが特徴の1つでもありますが、歌っている本人の運動量はすごいです。涼しげな顔で歌えるのがすごい!
- スピッツを歌ったことがある男性はきっと納得していただけるはずです笑。
5-C Eye先生 お薦め練習曲
【Superfly】
- とにかくパワフル
- ⾃然な声区移動
- 厚みのあるミックスボイス
【クリス・ハート】
- ⽇本語や⽇本の⽂化までも⼤切にしている
- 歌い⽅がとても丁寧!愛がある!
- ミックスボイスと裏声の使い分けが上手い
【Uru】
- 悲壮感漂う透き通った歌声
- 高音域を軽やかに歌える
【official髭男dism】
- 曲の構成、歌唱法、声、リズム感、どこをとっても天才。
- ⾼⾳域をパワフルに、丁寧に、そして何より表現⼒もある
- 姿勢や頭の位置がすごく綺麗です。
HOW:どのように発声するか?練習するか?
6-A ミックスボイスの出し方
1. 地声→裏声→地声→裏声のように、同じ高さの音で変化させる。
2. 高い音で、地声→裏声→地声→裏声を出来るようにする。(音の高さは一定)
3. 裏声の音域を、地声のような強さで出せると、それがミックスボイス。
6-B ミックスボイスの歌への活用法
1. 地声→裏声を、異なる高さの音で、急激に強さが変わらないように変化させる。
2. 裏声→地声を、異なる高さの音で、急激に強さが変わらないように変化させる。
3. 地声→裏声→地声→裏声の声区の移動を、異なる音でスムースに出来るようにする。
お薦め練習曲
7-A Meg先生 お薦め練習曲
【MISIA】/アイノカタチ
- 音域が広い
- 地声・ミックスボイス・ファルセットの往来が多い
- 声区移動の練習に効果的
7-B Anri先生 お薦め練習曲
【Salyu】/「新しいYES」
- 中・上級者向き
- 何度も転調
- 裏声・ミックスボイス・地声の切り替えが滑らか
【スキマスイッチ】/「アイスクリームシンドローム」
- 中・上級者向き
- 何度も転調
- 裏声・ミックスボイス・地声の切り替えが滑らか
7-C Eye先生 お薦め練習曲
〜⼥性編〜
【初級】
【絢香】/「三日月」
★ポイント★
まずは声区をきちんと理解して!
【中級】
Uru / あなたがいることで
★ポイント★
最初は⼩さめの声で!スムーズさを⽬指して!
【上級】
Superfly / 輝く⽉のように
★ポイント★
軽やかなリズムに乗ってリラックスしながらミックスボイスに調整!
〜男性編〜
【初級】
クリス・ハート / I LOVE YOU
★ポイント★
まずは優しく、声区を正しく切り替えよう!
【中級】
平井堅 / 瞳を閉じて
★ポイント★
AメロBメロを柔らかく。引き続き張り上げずに!
【上級】
official髭男dism / イエスタデイ
★ポイント★
サビの⾳の⾶躍で声が裏返らないように!
7-D Emi先生 お薦め練習曲
【Superfly】/「Alright」
- 地声のような力強いミックスボイス
- 鼻腔共鳴から咽頭腔を深く使う発声法
- ダイナミックな腹式呼吸
【椎名林檎】/「ここでキスして」
- 高音の鋭いエッヂボイス
- ファルセットから強いミドルボイス
- 低音のチェストボイスまで、テクニック満載曲
【山崎まさよし】/「One more time, One more chance」
- サビの部分は鼻腔共鳴を意識して練習
- ハスキーなミックスボイス
- 喉を閉めて歌ってしまう人にオススメ
【米津玄師】/「Lemon」
- 跳躍の少ない経過音
- シャッフルの軽快なノリ
- 力まないピッチコントロールが身に付く
【玉置浩二】/「メロディー」
- ベルカント唱法の呼吸法
- Aメロの囁くようなウィスパーボイス
- サビ~後半に向けて、叙情的な盛り上がりをミックスボイスで
7-E You先生 お薦め練習曲
【Mrs. GREEN APPLE】=僕のこと
難易度★★★★★
- スムースな声区移動
- ファルセット⇔ミックスボイスの練習になる
- 上記2つをマスターするための単音練習がおススメ
【Superfly】/「Ah」
難易度★★★★
- 力強く抜けの良い高音
- 共鳴のさせ方が独特
- サビの冒頭『あぁ』の単独練習がおススメ
【スピッツ】=さわって・変わって
難易度★★★★
- 高音への軽やかな声区移動
- 脱力して声を出す
- 表情筋を意識しながら歌うと攻略しやすい
【高橋洋子】/「残酷な天使のテーゼ」
難易度★★
- 地声だけで歌えてしまう音域
- 低音から高音の練習に最適
- ミックスボイス初心者に最適
7-F Mayu先生 お薦め練習曲
【マドンナ】/クレイジー・フォー・ユー
- 幅広い声区を駆使
- サビの音域が広い
- 鼻腔に響かせるように声をあて、音程に関わらず変えない
【サラ・バレリス】/ブレイブ
- G4♯~B4(ソ♯~シ)辺りを行ったり来たり
- 『真のミックスボイス』必須
- 抜いたミックスボイスと力強いミックスボイスが必要
【アヴリル・ラヴィーン】/「ホエン・ユア・ゴーン」
- 女性の喚声点に辺りの音域を行き来する
- Bメロからサビにかけて、力が抜けてしまわないように
- 『真のミックスボイス』の練習に最適
【DJスネイク ft. ジャスティン・ビーバー】/レット・ミー・ラブ・ユー
- 話し声に近い、脱力した歌声
- D4~F4(レ~ファ)辺りの音域往来
- 喚声点をクリアするのに最適曲
【ブルーノ・マーズ】/「トーキング・トゥ・ザ・ムーン 」
世界No.1のメロディー・メーカー
- ベルティング(地声の響きを保持したまま高音を出す)を駆使
- 裏声ベースのミックスボイス
- ミックスボイスの箇所では、声に息を混ぜる
7-G Peyling先生 お薦め練習曲
【Ariana Grande】/ Baby I
- ホイッスルヴォイスも交えている
- 全体的にソフトなミックスボイス
- サビの「Oh baby baby my baby」は、強いミックスボイス
【Mariah Carey】/「Through The Rain」
- Aメロは全てファルセット
- サビはファルセットとミックスの使い分け
- 2コーラス目も、地声と裏声の往来